しまねの職人

【有限会社 吉原木工所】お客様からフレームをいただいて僕たちが尽くす

~一人ではなくチームで作り上げる組子細工~

Vol.31

有限会社吉原木工所 吉原敬司さん

島根県浜田市にある棚田が有名なこの場所に、組子細工を制作する会社があります。
会社の名前は吉原木工所。

日本全国から依頼を受け、美しい組子細工の提案を行っています。
社長の吉原敬司さんは、北陸に修行へ行き組子細工の職人としてコツコツと実績を積み重ねてこられました。
現在では若手の育成も行う、吉原さんと吉原木工所で働いて5年目の職人の方にお話を伺いました。


吉原木工所と組子細工

組子細工と組子細工の職人を始めたきっかけについて教えてください
組子というのは本来は欄間であったり、床の間の書院障子を作る技法です。
ずっとそれが語り継がれてきた日本の伝統技法なのですが、僕らが今作っているものは、和室に限らずいろんな場所に使えるように提案させてもらっています。

僕の父が家具職人をしていて吉原木工所は昭和33年の創業です。
元々組子細工はやっていなかったのですが、父に憧れた僕が家具職人になりたいと伝えると、父が「木工の職人になるなら組子細工の職人になれ」と組子細工の見習いとして僕を北陸に出してくれました。
具体的にこの品物を作りたいという欲求が僕自身にあったというよりは、ここで働きたいというのが根底にあり、父がやってみろということだったらチャレンジしようかなという感じでした。
組子細工の職人になってからはどうでしたか?
もともと組子細工がなかった地域で売って生きていくというのは簡単ではなかったです。
だから自分が作りたいものは仕事が終わってから作り、日頃は父の仕事をずっとやっていました。
職人って作ってるだけだと生きていけないんですよね。
お客様のところに商品が届いてお金をいただいて、それでまた次の材料を買って制作できるんですけど、僕はなかなか芽が出なくてですね。
父とぶつかっていた時期が結構あり、納得させようと思うと売って帰らないといけない。
当然いくら自分がいいと思うものを作っても、父が納得しないというか認めなかったというか。
「それでは食えんぞ」っていうのはよく言われてましたから、どうやったら売れるのか、売れるものが作れるのか。
今も自問自答しながらやっています。
組子細工のデザインはどのように作られていますか
現在は組子細工のデザインを起こすのは僕を入れて4名で行っています。
組子細工の柄デザインそのものについては社員に任せています。
僕は今は全体の設計やデザインを整えていく作業を行います。

現在、職人には作業に集中してもらっています。
全て設計、デザインが決定されて図面化したものを彼らに渡してバトンタッチを行います。

商品としては企画商品もありますし、現場で作り込んでいくものもあります。
作り込んでいくものに関してはお客様の意向があります。

“この部屋をどのように使うか”や“部屋での過ごし方”
をかなり丁寧にヒアリングするようにしています。

お客様の想いを聴き、お客様からフレームをいただいて、僕たちが尽くすというスタイルです。
組子細工をチームで作っていくために工夫していくこと
僕らは職人三箇条というのを作っています。
毎朝それを声に出してから制作に入りますが、
・構造を理解してから制作に入る
・不明な点は理解するまで聞く
・完成品が仕上がったら図面と製品を照らし合わせ再確認する
すごくシンプルな、当たり前のような事なのですが、大体トラブルが起こっている時ってそれを怠っているんですよ。

同じことが起こらないように、日々ミスがあったりとか、トラブルがあった時にはどこがいけなかったかお互いに話し合います。

僕はチームワークをすごく大切にしていて、組子は職人のためにあるんじゃなくて、お客さんのためにあるものなので、職人が自分のことだけを考えて動いたりした時には僕すごく叱るんです。
”チームのためにみんなでできることをやっていこう”。そういう考え方でやってるので、営業事務と職人たちもすごくひざ詰めでやっている感じです。
業務では切り分けてるけど、一緒に作り上げていくというような、そういう思いで一つの作品を作っていますね。

吉原木工所で働く職人として(入社5年目の職人さん)

吉原木工所で職人になったきっかけを教えてください
学生の頃に吉原木工所に見学に来たんです。
その時に初めて組子に触れて「すごい、こういうのが浜田にあるんだな」ってちょっと興味を持ち始めて、そこからインターンシップとアルバイトを経てそのまま会社に入りました。
職人として日々プレッシャーはありますが、大きな作品が無事完成すると達成感もありますし、次回への反省も考えて次に向かうようにしています。
職人になって5年目になりますが、まだまだ先輩や工場長から教わらないといけないこともたくさんあります。それでも同時に、いま自身が持っている技術の最大限を後輩にも教えていかねばならない立場です。
自身が体験してきたことを後輩たちと共有し、お互いに成長していけると良いなと思っています。

吉原敬司さんが考える今後の吉原木工所

今後の吉原木工所について教えてください
一人の職人としてやっていくという生き方もありましたが、チームでやる楽しさ、喜びがどんどん増えていき、一人よりもみんなで一緒にやっていた方が良いなと思い、今は“和”を大切にしています。
元気なうちに若手にどんどん教えて、一人でも多くの職人を育て、組子細工の商品を多く開発し、この仕事に携わる人、関わる人を増やしていきたいですね。

自分自身はこの仕事が好きになったから、この仕事を一人でも多くの人に広めて、職人を作っていきたいと思っています。

吉原木工所について

最初は一人で始まった組子細工の職人としての人生。
葛藤してもがきながらも試行錯誤を繰り返し、工夫を重ねてきた時間がありました。
少しずつ少しずつこれまでの結果が出ています。

一人ではなくチームで続けていく選択をした、吉原さんの元には多くの若者が職人を目指し集まっています。

「自分自身はこの仕事が好きになったから、この仕事を一人多くの人にでも広めて、職人を作っていきたいと思っています。」
これからも吉原さんの想いは深まり、チームとして広がっていくことでしょう。

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