島根県大田市、国立公園三瓶山の麓に店を構える「蕎麦工房 木の香」。
ここで提供されるのは、希少な在来種である「三瓶そば」の個性を最大限に引き出した一杯です。
IT業界から全くの未経験で食の世界へ飛び込み、先代から店を受け継いだ店主の思いと、三瓶そばの魅力についてお話を伺いました。
ここで提供されるのは、希少な在来種である「三瓶そば」の個性を最大限に引き出した一杯です。
IT業界から全くの未経験で食の世界へ飛び込み、先代から店を受け継いだ店主の思いと、三瓶そばの魅力についてお話を伺いました。
三瓶の在来種、その力強い味と香りに魅せられて。IT業界から転身した職人が打つ「三瓶そば」
農家から直接仕入れ、石臼で挽く「三瓶そば」へのこだわり
- こちらで扱っているお蕎麦について教えてください。
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当店では、三瓶山の麓で栽培された在来種である「三瓶そば」のみを使用しています。農家さんから「玄そば(殻付きのままの状態)」で一括して仕入れ、店内の石臼で製粉するところから始まります。
こだわりは、皮ごと挽く「挽きぐるみ」という手法です。
これにより、蕎麦本来の風味を強く残すことができます。
メニューとしては、蕎麦粉100%の「十割蕎麦」と、二割のつなぎを入れた「二八蕎麦」の2種類を軸に提供しています。
- 以前、全く違うお仕事をされていたそうですね。
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元々はサラリーマンで、IT系の仕事をしていました。食の世界とは全くの畑違いです。きっかけはコロナ禍でした。外出自粛が続く中で「自分に何かできないか」と考え、元々好きだった蕎麦を自分で打ち始めたんです。
何度か皆さんに食べてもらったところ「美味しい」と言っていただけた。その喜びが、お店をやりたいという情熱に変わりました。
- どのようにして、この「木の香」を引き継ぐことになったのですか?
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このお店自体は2006年に先代が始められたものですが、ご縁があって4年前に修行に入らせていただくことになりました。
修行といっても、多くを言葉で教わるというよりは、とにかく数を打つ機会をたくさん与えてもらい、体で覚えさせてもらうというスタイルでしたね。そして丸3年前の1月に、正式に店を引き継ぎました。
衝撃を受けた「薬味も出汁もいらない」蕎麦の力
- 出雲のご出身とのことですが、三瓶そばとの出会いは衝撃的だったとか。
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実は、ここで修行するまで三瓶そばを食べたことがなかったんです。初めて食べた時、本当に驚きました。薬味も、お出汁も使わなくても、蕎麦そのものに濃い味と強い香りがあります。
こんな蕎麦があるのかと初めて三瓶そばを食べた時の衝撃が『この味を絶やさず、自分が守っていこう』という決意に変わりました。
それが、この道に入るための修行を決めた一番の理由です。
- 実際に打ってみて感じる、三瓶そばならではの特徴はありますか?
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他の蕎麦に比べて粘りが強く、繋がりやすいのが特徴だと思います。
十割で打つと「もちもち感」が強く、二八だと「のどごし」が良くなります。一般的な十割蕎麦の「ボソボソする」というイメージとは違った食感を楽しんでいただけるはずです。
日々、その日の湿度に合わせて水の量を調整しながら打っていますが、蕎麦を捏ねている時の香りには、今でも幸福感を感じますね。
三瓶の味を守り、広めていく。これからの展望
- お店を継いで3年が経ちましたが、やりがいを感じる瞬間は?
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やはりお客様から「ここの蕎麦が一番美味しい」と言っていただける時が一番嬉しいですね。
週4日の営業ですが、そのうち2回も足を運んでくださる熱心なファンの方もいらっしゃいます。
- 今後、挑戦してみたいことはありますか?
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山の中という立地もあり、冬場はお客様が少なくなるといった厳しさはありますが、もっと気楽に試作ができる環境を作っていきたいですね。
今は蕎麦が中心ですが、いずれは天ぷらやご飯ものなども提供できればと考えています。
また、現在は三瓶に来ないと食べられないこの味を、将来的には私の地元である出雲でも提供できる機会を作りたいです。
三瓶そばという素晴らしい産物の魅力を、より多くの方に伝えていきたいです。
「IT業界から、手打ち蕎麦の世界へ」。一見すると正反対のキャリアに驚かされますが、お話を伺うとその根底にあるのは「三瓶そばという素材への純粋な感動」でした。
コロナ禍という予期せぬきっかけから始まった蕎麦打ち。
しかし、初めて三瓶そばを口にした際の「薬味も出汁もいらない」という衝撃が、職人としての道を決定づけたといいます。
取材中、蕎麦を打てる喜びや、その香りを嗅ぐ瞬間の幸福感について語る表情からは、三瓶の土地が育んだ在来種への深い敬意が感じられました。
冬の厳しさや、人里離れた場所ゆえの試行錯誤など、決して平坦な道のりではないかもしれません。
それでも、地元の農家から直接仕入れた玄そばを石臼で挽き、一人ひとりのお客様を想って打つその一杯には、この土地でしか味わえない力強さが詰まっています。
三瓶の豊かな自然とともに、ひたむきに蕎麦と向き合う職人の挑戦を、これからも応援したくなる。そんな温かな取材の時間でした。
コロナ禍という予期せぬきっかけから始まった蕎麦打ち。
しかし、初めて三瓶そばを口にした際の「薬味も出汁もいらない」という衝撃が、職人としての道を決定づけたといいます。
取材中、蕎麦を打てる喜びや、その香りを嗅ぐ瞬間の幸福感について語る表情からは、三瓶の土地が育んだ在来種への深い敬意が感じられました。
冬の厳しさや、人里離れた場所ゆえの試行錯誤など、決して平坦な道のりではないかもしれません。
それでも、地元の農家から直接仕入れた玄そばを石臼で挽き、一人ひとりのお客様を想って打つその一杯には、この土地でしか味わえない力強さが詰まっています。
三瓶の豊かな自然とともに、ひたむきに蕎麦と向き合う職人の挑戦を、これからも応援したくなる。そんな温かな取材の時間でした。
プロフィール
- 蕎麦工房 木の香
- 694-0222
- 島根県大田市三瓶町志学ロ347-1
- 【TEL】0854-83-2813
- 【営業時間】11時〜15時(14時半ラストオーダー)
- 【定休日】火曜・水曜・木曜(冬季は月曜〜金曜) 祝日は営業
- 【HP】https://www.sanbe-soba.com/













