しまねの職人

【内田線香店】余計なものは加えない昔ながらの線香作り

~一つ一つ心を込めて手作業で~

Vol.34

内田線香店 内田貴子さん

島根県安来市は、たたら製鉄をはじめとする鍛冶製品、広瀬絣や広瀬和紙など、ものづくりがとても盛んです。

また、アメリカの日本庭園専門誌で2003年から連続日本一にもなっている足立美術館もあり、芸術文化が根付いている地域でもあります。

そんな土地で、昔ながらの製法で今も線香を作り続けていらっしゃる線香店があります。
それが「内田線香店」さんです。

約100年前から杉の葉を使って線香作りを始め、現在では4代目内田貴子さんが引き継ぎ、今も家族で一つ一つ手作業で作っていらっしゃいます。
内田さんにお話を伺いました。

内田線香店の作っているお線香について

杉葉線香とは何ですか?
杉の葉を粉にして作ったものです。
昔は水車小屋があり、係の人がおられて杉の葉を粉にしてもらっていました。
現在はこの作業は行っておらず、九州の方から杉の粉を仕入れてます。
原材料としては杉葉とつなぎの粉を入れています。
さらに糊粉を入れてお水で練ったものをノズルで出し、綺麗に揃えて付けて、乾かす。それが一作業ですね。
乾燥作業に時間がかかるので、できるまで1週間はかかりますね。
近代化して新しい機械を用意するという事は全然していないので、昔ながらの形しか継承していないということになると思います。
杉葉線香を作り始めたきっかけについて教えてください。
線香を作り始めて100年くらいでしょうかね。
私自身が作り始めてもうすぐ30年くらいだと思います。
子どもの手が離れて、線香の製造を手伝ったほうがいいかなという気持ちからでした。

線香の種類について

どんな種類のお線香を作られていますか?
私の所では、通常の線香に加え、お寺さんの参拝用の太い線香と、もう少し太めの特殊な線香も作っています。
杉葉線香の特徴を教えてください
合成の香料を使っていないことで、杉の燃える香りだけがしますので、本当に自然な気持ちのいい香りだと思います。
それこそお香料なんておこがましいものじゃないですけども、部屋の隅の方で立ててなんとなく楽しんだり、お店なんかでちょっと立てておくと、なんとなく優しい香りがしてくるのだろうと思います。
手作業で作るお線香について
線香の原料などの手触りがとても気に入ってます(笑)
作業も原始的なやり方ですが、好きなんです。
粘土ではないけれど、粘土のような手触りで、触るのはとても気持ちがいい。
作っていると「あれ?」と思うような時もあるし、うまくいかない時もあります。

詰め方の加減でしょうけど、お線香をノズルから出す作業も、片方だけ長くなったり難しいなという日もあります。
今日なんかはとってもいい感じに出ましたけどね。

線香を板に付ける時は、同じ長さにするから結局同じものはできますが、ノズルから出てくる時にはちょっと「もう、あわてんぼうめ!(笑)」ってなるような時もあります。

今後の展開について

今後の展開について教えてください
私としては、ぼちぼちでできればと思っています。
後の人がまた考えてくれるのではないかなと(笑)。

お線香を作る時には、お客様に穏やかな気持ちでお線香をたててもらえるようにと思って作っています。

内田線香店について

今も変わらぬ製造方法で家族で杉葉線香を作られている内田線香店さん。
その日の気温、湿度で素材も変わってしまうので、一回一回の出来上がりを合わせるため、毎回丁寧に確認しながら作っていらっしゃいます。

原材料はシンプルに杉の葉だけ。
香料も使われていないので優しい香りでお線香を焚くことができます。
内田さんの思いのこもったお線香をたてて、優しい時間を過ごしてみませんか?

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