しまねの職人

【(有)出雲工芸】熟練の職人が仕上げる銘木無垢材の木製品

〜受け継がれる雲州そろばんの技術〜

VOL.13

(有)出雲工芸 藤原 昭彦さん

島根県奥出雲町で江戸時代から作りつづけられ
国の伝統工芸品に指定されている雲州そろばん。
その巧みの技を今に受け継ぐ熟練の木工職人たちがいます。

老松、黒柿、欅、屋久杉など銘木の無垢材が
職人たちの手でふたつとない家具に仕上げられていく。

オーダーを受けて作られるそれらの家具は
家宝としてお客様に長く大切にされるそうです。

無垢材を使った本物の木製品にこだわりつづける
出雲工芸の藤原さんにお話を伺いました。

出雲工芸の歴史

出雲工芸の歴史について
1971年(昭和46年)に父が創業しまして、私は2代目です。
父はそろばん職人だったんですが、出張で東京に行った際に、たまたま黒檀や紫檀などのそろばん材で作られた家具を見かけたそうです。
ちょうど電卓が普及し始めて、この先そろばん事業が厳しくなっていくだろうという時期だったので、それを機に家具づくりに挑戦したのが始まりです。
出雲工芸の特徴・魅力とは
まず、雲州そろばんの製造技術を生かしてものづくりをしていることです。
そろばんの珠削りは轆轤(ろくろ)を使い、枠は釘を使わない指物で作りますから、その技術を使ってものづくりが始まりました。
無垢材の家具にこだわっていたのですが、無垢材は乾燥具合によって歪みや反りが生じる(木が狂う)という問題点があります。
そこで、工業技術センターにお願いして研究を行い、なんとか木が狂いにくいように乾燥させる技術を手に入れ、今に至ります。
また、銘木を使用しているところは全国的に珍しく、無垢材を使用していることもうちの強みです。
特に最近は国産材、地元材、黒柿や老松をよく使用している点でも差別化ができていると思います。

家具づくりへのこだわり

どのような体制で家具を製作していますか
工場長、職人2人、わたしの4人で製造していまして、今は注文いただいたものを作るという受注生産をしています。
材料、形、仕上がりも含めて希望されたものを作るわけですが、遠方のお客様にはメールで途中経過をお送りしたり、近くのお客様には作業を見学に来ていただいたりもしています。
どのような思いで製作していますか
うちで製作した家具は家宝にしていただけることが非常に多いので、そういう仕事に携わっているということは全員が認識していると思います。
常に「家宝を作らせていただいている」という気持ちをもって、家具製作に取り組んでいます。
また、木材の管理からデザイン、製作までを一人の職人が一貫して担当することによって、「自分が作った」という気持ちが生まれ、より大きな責任をもつことになります。
心を込めてものづくりをするという気持ちのもと、家具はもちろん小さな木製品まで、一人の職人が最初から最後まで作らせていただいています。
全国の百貨店で取り扱われていますが
30年ほど前、全国規模の百貨店さんから黒柿の家具について問い合わせがあり、ちょうどそのとき黒柿で作っていたので、百貨店の外商さんと一緒にお客様を訪ねて販売させていただいたのがきっかけで、仙台から熊本までの全国の百貨店催事へ出店するようになりました。
初めて都会のデパートに出店したときは、生活様式の違う都会のお客様からどんな反応があるか不安の方が大きかったですが、たまたま良いお客様に巡り合い、色々と教えていただきながら、都会の生活様式に合ったものを作らせていただいています。

出雲工芸のこれから

後継者の育成について
これまでに独立志望の人が3名ほど来られ、惜しみなく技術を伝えてきましたが、残念ながら出雲工芸の後継者は今のところいません。
後を継いでくれるようなやる気のある人を募集はしていますが、地元でやりたいという方が少ない。
教室やワークショップもやってみたいと思っていますし、イベントでは箸作りやペーパーナイフ作りなども体験してもらっているので、そこから入ってきてもいいですし、本気でやりたい人は積極的に受け入れるつもりでいます。
伝統工芸品の未来について
ありがたいことに「島根県ふるさと伝統工芸品」に指定をいただいていますが、これまでの“伝統工芸品”の時代遅れなイメージを打破しないと今後が厳しいと思っています。
そのため、今の住宅にマッチするウォルナットやチェリーなどの外材を使い、若い人にもアピールするような家具を作り始めました。
またSDGsへの取り組みでもありますが、銘木にこだわっている関係で素材が少なくなっているため、大量の端材を活用したものづくりにも取り組んでいます。
端材といっても樹齢数百年のとてもいいものですから、“本物の木製品”を知ってもらうためのアイテムとして、箸置きやスマホスタンドなどの小物を製作し、手頃な値段で販売しています。
明るい話題としては、これまではご年配のお客様が主でしたが、都会では20代の若い方に購入していただくこともあり、世代を超えて“本物志向”が浸透しつつあるのかなと感じます。
また、“本物”を探しているお客様に巡り合えるか否か、反対にお客様も“本物”を作っているメーカーを探していますから、そういった意味で今はインターネットが非常に重要で、インターネット経由で新規のお客様から「こういうものは作っていますか」という問い合わせが多くなっています。

(有)出雲工芸について

柿の古木に希に見られる黒い杢目が入った黒柿は、1万本に1本あるかないかという希少な木で、
切って初めて黒柿かどうかが判明するのだとか。
べっ甲松は樹齢300年以上の老松の中心に松やにが蓄積したもので、光にかざすとその部分がべっ甲のように透けて見えるのですが、やはり切ってみないとべっ甲松かどうか分からないそうです。
また展示室には、樹齢1000年の屋久杉を輪切りにしたテーブルが置かれています。

出雲工芸がこだわる素材と、その素材を使って伝統的な技法で作られた家具は、それぞれに見事な杢目を堪能できる逸品で、銘木の無垢材を用いた“本物の木製品”が放つ風格と存在感に圧倒されてしまいます。

大型家具だけでなくインテリア小物や日常雑貨なども、樹齢数百年の素晴らしい無垢材を用いて匠の技で作られた逸品ぞろい。
オンラインショップで気軽に購入できますので、ぜひ覗いてみてください!

“奥出雲銘木製品”として、奥出雲で唯一「島根県ふるさと伝統工芸品」に指定されている出雲工芸の木製品。
指物の技法で仏壇や神棚を組み立てる過程など見学させていただきましたが、その優れた木工技術が次代に引き継がれていきますようにと、心から願いました。

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