しまねの職人

【八幡黒耀石店】自然と歴史が紡ぐ黒耀石の魅力

~アナログとデジタルを融合させた最新の技~

Vol.37

隠岐黒耀石細工(八幡黒耀石店) 八幡浩二さん

島根半島の北側、日本海に浮かぶ隠岐諸島は、豊かな自然や独特な歴史・文化が残る地域です。
そんな隠岐諸島の中でも最大の島である隠岐の島町では、古代から黒耀石が採掘され、矢じりや刃物などの道具として利用されてきました。

黒耀石は、火山から噴出した花崗岩質の溶岩が急速に冷やされたもので、磨くとガラスのような光沢があります。
特に隠岐のものは純度が高く、その美しさに定評があり、現在はアクセサリーなどの製品が作られ人気となっています。

現在黒耀石の採掘、アクセサリーの制作を行われている八幡黒耀石店の八幡さんにお話を伺いました。

歴史ある自然の中から生まれる隠岐黒耀石

隠岐黒耀石細工が始まったきっかけについて教えてください
隠岐で黒耀石の採掘加工業をしています。
黒耀石は古代から縄文人・弥生人を含めて刃物に使った石です。
そういったものが古代より隠岐から運ばれていたのは知られていました。
昭和38年に国立公園になったのをきっかけに私の祖父と父が黒耀石という石があるから、何か作りたいねというところから始まったのが今の仕事です。
当時は祖父と父はまず加工というよりも、きれいな原石の下にコンクリートみたいなもので台を作って、置石(飾り)のようなものから作り始めました。
父が島根県庁の方と相談し、山梨県の甲府の試験場に特別派遣的に行かせていただき、機械を見たり、技術を学びました。
機械を購入し、隠岐に帰ったのが昭和40年くらいです。
隠岐黒耀石細工は現在どのように細工されていますか?
私は昭和33年生まれですから、昭和40年というと7歳の時です。
小学生の時から家に機械があったので、遊んで加工していました。
ですので、ある程度大きくなった時にはもう加工代替できるという状態でした。

現在は、アクセサリーとか工芸品も作ってますが、それに加えて黒耀石にアワビを埋め込む螺鈿とか、
新たな技法をいっぱい取り入れて、今の加工をしています。

かなり最先端の技術も取り入れてやっていかないと、正直商売が成り立たないところがあるので、今はそういったやり方で仕事をしています。
どのような技術を使っていらっしゃいますか?
フリーハンド的なことはイラストではなくて、パソコンを使って1000分の1ミリ単位で図を描くようなこともしています。

石を切るのもダイヤモンドカッターで切るのも半分ありますが、あとは最先端の技術として水で石を切るウォータージェットでやります。
単純に切るからいいのではなく、図面が正確でないと正確なものが作れませんから、アナログ的なこととデジタル的なことを融合させてやっています。
正確に作ることにより、途中段階の研磨や面取り時も含めて工程がかなり楽になり、制作の速度が上がります。

昔と今をつなぐ黒耀石のあり方

黒耀石の昔と今について教えてください
黒耀石は天然の黒いガラスと思ってもらったらいいです。
原石の時でもかなり黒く光る綺麗な石や、縞が入ったものもあります。

古代人が矢じりに使ったり、石包丁を作ったり、
3万年前より隠岐の島から本土に運ばれて槍なんかが作られている例があります。
原石を山で(手掘りで)採掘してますけども、近くに遺跡が出てますし、古代人がそこで掘っていたということも分かります。
今はアクセサリーとか工芸品を作っていますけど、やはり昔から続く歴史などを大事にしていくことは欠かせないと思っています。
黒耀石の魅力について教えてください
古代は石器の魅力、今はアクセサリーや工芸品的な魅力ですけども、
共通する黒く輝く光、天然ガラスというのは、やっぱり基本的には共通しているものがあるんじゃないかなと思っています。

もう1ミリとか、0.1ミリにスライスして光を当てると瑠璃構造といって縞が入ります。
和風のステンドグラスみたいになり、場所により縞模様が違いますが、
本当に漆黒で黒いのもあれば、ちょっとグリーンがかったようなものもあります。

グレーがかっていて、中には流紋岩という白い不純物がぽんぽんぽんと入っているものなどもあります。
掘っている場所が、火山の噴火後にできたすり鉢状の半円形のところだと、そこの縁で黒耀石が冷え固まって出来ています。
出てくる場所によって、固まって冷えた時の温度が違うので質が違ってきます。
そこが非常に面白いところでもあります。
縞が平行に入っている場合、斜めの角度で切ったときに表面が光が入って屈折して跳ね返って出てきます。
90度で切るとただの縞になります。
斜めで切ることにより、色の変化を起こします。
そういった場所を選んで切り方も選んでいます。
どういった注文を受けていらっしゃいますか
今は数を多く作る仕事をしてますので、オーダーはあまり受けることはありません。
昔はお茶を入れる棗(なつめ)とかを作っていました。
ちゃんと上下の位置が合うように模様がでて、しかも年輪みたいに模様が出てくる、
そういったオーダーをいただいて作ったりとか、過去にはたくさん作っています。
これからの黒耀石について
今掘っているところは、昔の噴火口の辺りです。
昭和30年代、40年代頃からずっと掘っていますが、多分奥行き1メーターぐらいまでしか掘っていないんです。
だから量はまだまだ100年とか200年多分出るんでしょうけど、無限ではないです。
だから今は黒耀石を制作するにあたり、得た技術がありますので、黒耀石以外でもその技術が生かせるような形を常に考えています。
また、今まで切った欠片の石は全部取ってあります。
そういったものをまだまだ再利用できるものがいっぱいあります。

資源を大事にしたり、
黒耀石以外でも他のガラスに対し、同じ技術を生かせることとか、今は色々な模索をしている最中です。
それもがうまくいったら、新たな黒耀石以外の島根県の伝統工芸になると思って挑戦しています。

隠岐黒耀石細工について

お祖父様、お父様から続く、隠岐黒耀石細工。
アナログ技術を大切にしながらもデジタル技術や最新の機械を取り入れ、黒耀石の美しさを最大限まで引き出し、多くの人を魅力し続けています。

天然ガラスのように黒く輝く石。
カットする部分によって光の反射が変わり、色が違って見えることもあるということ。
ぜひ、お手に取られて古代から続く歴史ある自然の美しさを確かめてみてください。

プロフィール

  • 隠岐黒耀石細工(八幡黒耀石店)
  • 〒685-0305
  • 島根県隠岐郡隠岐の島町久見30

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