しまねの職人

【有限会社 渡邊水産】干物の概念を覆すこだわりの製法

~お客様の声をバネに、干物のすばらしさを発信~

VOL.10

有限会社 渡邊水産 岩田 響子さん

「うまいをあなたに。それが私たちの誇りです」を経営理念に、
出雲の地で美味しい干物を提供している『有限会社 渡邊水産』

天然素材だけで作られているこだわりの干物は、シンプルかつ見た目も美しい仕上がり。
魚が嫌いな人でも食べられる干物として評判を呼んでいます。

魚離れが叫ばれる昨今、干物の魅力とおいしさを発信している3代目の岩田さんにお話を伺いました。

渡邊水産の歴史とこだわり

渡邊水産の歴史を教えてください
昭和40年に、愛媛県の南宇和で船長をしていた祖父が創業しました。
水運で全国を回っていたときに、山陰には美味しい魚があることを知ってこの地に移り住んだんです。そして、イワシの丸干し屋を開業したのが始まりです。
こだわりについて教えてください
刺身でも食べられるくらい新鮮で、脂がのっている魚を使うことを一番大切にしています。
あとは、焼きがあがったときに身がふっくらとしてジューシーになるような干し加減、魚の旨味を引き出す塩加減にもこだわっています。

機械化して効率を上げるよりも、一尾ずつ手間ひまをかけ、丁寧なものづくりを心がけています。
規模を大きくするより、美味しい干物を作ることに徹底的にこだわる、というのが私たちのポリシーです。

干物の概念を覆す「美人干物」

誕生のきっかけを教えてください
イベントや店頭でこだわりを伝えても、素通りされる方がほとんどでした。
ある時、店頭に来られた30代の方から「干物ってなんですか?」と聞かれたんです。
バイヤーさんから「干物を食べる人が減っている」「電子レンジで温められる干物じゃないと売れない」といった話は聞いていましたが、まさか干物屋で干物を知らない人に出会うとは思ってもみなかったので、とてもショックを受けました。
生産者としてただ作るだけでなく、魅力や楽しみ方を積極的にアプローチしていかないと干物が無くなってしまう、と感じました。
ネーミングの由来
山陰沖で捕れた新鮮な魚を、おいしさにこだわり丁寧に干物にすると、香りがよく、調理前と調理後の見た目が美しいこと表しています。
また、食べることで身体の中から綺麗になるとの意味も込めて「美人干物」と命名しました。
反響はありましたか?
干物を知らないお客様にも、話を聞いていただけるようになりました。 特に今まで立ち止まってくださらなかった20~30代の方に「美人干物ってなんですか?」と話しかけてもらえるようになり、すごく驚きました。

そして、SNSを通じて食べた感想を伝えてくださったり、毎日の食卓だけでなく、ホームパーティーで利用したとのお声をいただいたりするようになりました。

「干物の概念が覆った」という声が多くあり、一番嬉しい誉め言葉です。

隠れた万能食材 干物

干物のすごいところは?
捌き方や内蔵の処理に困ることなく、長期的に保存することが可能で、生魚のネガティブな要素を解決した究極の食べ物だと考えています。

実は、下ごしらえが済んだ魚という位置づけになりますが、干物を使って料理ができるという概念が皆さんにあまりありません。
例えば、フライパンに材料と白ワインを入れれば、簡単にアクアパッツァが作れます。
美味しい魚を食べたいという声はすごく多い中で、干物を使うと美味しい魚料理が簡単にできるということをお伝えすると、皆さん「目からうろこ」と言われます。

おすすめの干物を教えてください。
まずはアジですね。 山陰の真アジは小ぶりですが脂がのっていますし、特に脂が多めのどんちっちアジは感動されることが多いです。

また、雲南市から取り寄せた桜チップで燻した、アナゴの一夜干しもとても人気です。
この辺りは真アナゴの漁場が近く、新鮮な状態で加工場に持ち込めるので、塩だけで臭みのない一夜干しができます。
私の父である社長自ら背開きにしているため身も厚く、日本酒はもちろん、ワインともよく合います。

あとは、脂がのったノドグロや、甘みのある柔らかい白イカもおすすめです。

次世代へつなぐ思い

これからの目標や取り組みたいことはありますか?
将来的には魚だけではなく、肉や野菜などの食材もジューシーな干物にしてお届けしたいと話しています。

あとは、温暖化の影響で海流が変わってしまい、今まで捕れていた魚がいなくなってきました。
一方で、本来はこの辺りで捕れる魚ではないニシンが捕れ始めています。
数々のレシピを考案している常務である母が、ニシンの一夜干しをアヒージョにしたら間違いなく美味しいと話しているので、ぜひ一度試作してみたいと思っています。
次の世代に向けて
実は、私を含め兄弟で誰も事業を継ぐ気はなかったんです。
両親が楽しんで仕事をしているようには見えなかったから。
なので、私たちの次の世代でも干物を生産し続けてもらうために、私たちが干物を楽しく活用する姿や美味しく食べている姿を見せていきたいです。
干物というよくできていて、素晴らしい食文化を絶やさないためにも、次の世代にしっかりバトンを渡したいです。

渡邊水産について

人気の「ほのかに燻る穴子の一夜干し」を試食させていただきました。 燻製することにより、味も濃厚で、香りも良く、魚が苦手な子どもたちでも食べられそうな、いい意味での魚らしさを感じない味わい。
そのまま食べるのはもちろん、細かく切ってベーコンの代わりとしてパスタに入れるなど、いろんな料理で試したくなる商品でした。

お話を伺った岩田さんは美人干物を多くの人に知ってもらおうと、SNSで積極的に活動しています。Instagramの「美人干物」(@ bijinhimono.watasui9899)やYouTubeの「美人干物チャンネル」には、干物を使ったアレンジレシピなど、参考になる情報が満載。

また、毎月第4日曜日の出雲市内で開始されるサンデーマーケット「CiBO」にも、4年前から出店。
初めて干物を買うハードルを下げるため、試食のほかにも、干物を使った「干物ドッグ」を販売し、少しずつ人気を集めてきています。

「美人干物」は島根県内のスーパーをはじめ、紀ノ国屋やオイシックス、通販サイトでも取り扱っています。
ぜひ、山陰の海の恵みを味わってくださいね。

商品ラインナップ

プロフィール

PAGE TOP