日本酒は、私たち日本人の暮らしに深く根ざした伝統文化のひとつ。
その土地の風土や歴史が反映された味わいには、造り手の想いが込められています。
島根県安来市にある金鳳酒造は、地元の方には150年以上に渡り「山は大山、お酒はキンポー」のキャッチフレーズで愛され、地域の自然とともに歩んできた老舗の酒蔵です。
自然豊かな環境で育まれた米と清らかな水を使い、職人の技で丁寧に仕込まれる金鳳酒造の日本酒。
そこには、伝統を守りつつも進化を続ける姿勢が息づいています。
6代目当主が語る、酒造りへのこだわりと、地域に根ざした日本酒の魅力をご紹介します。
その土地の風土や歴史が反映された味わいには、造り手の想いが込められています。
島根県安来市にある金鳳酒造は、地元の方には150年以上に渡り「山は大山、お酒はキンポー」のキャッチフレーズで愛され、地域の自然とともに歩んできた老舗の酒蔵です。
自然豊かな環境で育まれた米と清らかな水を使い、職人の技で丁寧に仕込まれる金鳳酒造の日本酒。
そこには、伝統を守りつつも進化を続ける姿勢が息づいています。
6代目当主が語る、酒造りへのこだわりと、地域に根ざした日本酒の魅力をご紹介します。
金鳳酒造について
金鳳酒造の歴史と伝統
- 歴史について教えてください
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金鳳酒造は、安来市清井町の地で1869年、明治2年に創業しました。当時は現在のような免許制度ではなく、「酒造座」として許可を得て酒造りが行われていました。豊かな田園地帯が広がるこの地域は、冬になるとシベリアからコハクチョウが飛来するほど自然が豊かな場所です。元は百姓だったと思いますが、余剰米を活用し、日本酒造りを始めたと考えています。
私の曾祖父の代、昭和12年の全国清酒鑑評会で全国第一位を獲得した実績もあります。当時、灘から宮水を樽に入れて貨車で取り寄せるなど、より良い酒造りを目指して、様々な工夫を行っておりました。
日本酒は醸造酒に分類され、ワインやビールと同じカテゴリーに属します。蒸留酒に比べ、より原料の特徴を現すお酒であり、その原料は主食であるお米です。醗酵の過程で生まれるアミノ酸や糖分が、独特の旨味と深い味わいを生み出します。金鳳酒造では、米の旨みを味わって頂けるお酒を醸してまいります。
安来市の自然が生む理想的な環境
- この土地だからこその水の良さについて教えてください
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島根県は過疎県で、経済活動も盛んではないという様な見方をされます。しかし、それ故何よりも大切な豊かな自然環境が保たれています。清らかな水、澄んだ空気、豊かな緑。これらの要素が酒造りにも大きな影響を与えています。
金鳳酒造で使用する水は、酒造りに最適な「軟水」です。軟水は穏やかな発酵を促し、まろやかな味わいの酒を生み出します。中国山地では古くから「たたら製鉄」が行われており、砂鉄が原料とされてきました。
川の水には鉄分が含まれる事が多いのですが、酒造りにとって鉄分は厳禁。鉄分を含まない良質な水を求めて井戸を掘り、湧水を使用しています。「清井」の地名が示す通り、良い井戸水があります。
- 商品のラインナップについて教えてください
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金鳳酒造では、特定名称酒と呼ばれるさまざまな種類の日本酒を製造しています。
主力ブランドである「金鳳」は、米と米麹のみを使用した純米吟醸や純米酒のほか、香りを引き立たせるために少量のアルコールを添加した大吟醸、吟醸酒、などラインナップを揃えています。
製造後の日本酒は瓶詰めされ、出荷される際にアルコール度数を調整します。搾りたての状態ではアルコール度数が17度ほどあるものもありますが、15度5分程度に調整して出荷するものもあれば、加水せず原酒のままで出荷するものもあります。
また、1990年には小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の没後100年を記念し、ご子孫の許可を得て「へるん」という銘柄を立ち上げました。現在、「へるん」は純米吟醸・特別純米・本醸造の3種類が展開されており、「金鳳」と並ぶ重要なブランドとなっています。
- 酒米について教えてください
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酒造りにおいて、米の品質は味を決める重要な要素です。金鳳酒造では、新潟生まれの酒米「五百万石」を中心に使用しています。五百万石は寒さに強く、すっきりとした味わいが特徴。大吟醸には「山田錦」を用い、40%まで精米した白米で仕込みます。これにより、雑味のない繊細な味わいの日本酒を生み出すことができます。
- 金鳳酒造という名前の由来について教えてください
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かつて、金鳳酒造では「白鹿」などの名前を使用していましたが、商標の関係で新たな名称を考える必要がありました。その時の、3代目の当主が平等院鳳凰堂を訪れ、屋根に鎮座する鳳凰に感銘を受けたことがきっかけとなり、「金峰」という名前が生まれました。
鳳凰は「鳳」が雄、「凰」が雌を意味し、縁起の良い空想上の鳥として古来より尊ばれてきました。金鳳酒造の酒が、多くの人々に幸せをもたらす存在であってほしいという願いが、この名前には込められています。
- お酒とのペアリングについて教えてください
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金鳳のお酒は、米の旨みと甘さを味わえ、しかもキレの良さが特長です。
近くには587年創建された天台宗の清水寺が在ります。そして山内の旅館では精進料理が作られています。肉や魚を使わず自然の素材を用いて、ゴマ豆腐や山菜を揚げたり炊いたりして提供されます。少し淡泊だったり苦みがあったり、素材の持つ味わいとお酒が良くマッチします。
田舎では煮物や結構濃い味の料理もありますが、お酒にしっかりした旨味がありますので負けてしまう事はありません。ソースを使った肉料理等にも良く合います。お口の中で料理の味とお酒の味が合わさり、新たなハーモニーを奏でます。
地元の方々と共に歩む酒造り
- これからの金鳳酒造の未来について教えてください
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金鳳酒造が目指すのは、ただ美味しい酒を造ることだけではありません。地元の食文化とともに、日本人の生活に寄り添い、豊かな時間を提供することも大切にしています。
日本酒は日本人の文化そのものです。お米を食べる民族だからこそ、米から生まれる日本酒が私達の身体に最も合うお酒であると考えています。
お酒を飲む事で心も身体も健やかに、そして人と人とのつながりを深めていけたら、これほど嬉しい事はありません。
お酒は百薬の長と言われてきました。憂いを払う玉箒。
飲んで頂いた方を健康で元気にしたい。日本人を幸せにするお酒を提供したいと願い、酒造りに励んでいます。
金鳳酒造について
金鳳酒造の歴史をたどると、まるで静かに流れる川のように、土地とともに歩んできた時間が感じられます。
地元の方には「山は大山、お酒はキンポー」のキャッチフレーズで愛され、明治の頃から続く酒造りの営みは、ただ技術を磨くだけでなく、この土地の水や米、人々の暮らしと深く結びついています。
水や米に対するこだわり、そして「へるん」のように歴史や文化を反映したブランドの展開は、単なる酒造りを超えた地域貢献の姿勢を感じさせてくれます。
未来に向けて、金鳳酒造が掲げる「人とのつながりを深める酒づくり」は、日本酒の役割を改めて考えさせられる言葉でした。単に嗜好品として楽しむのではなく、コミュニケーションの一助となり、人々の暮らしに溶け込む存在であり続けること。その想いが、これからも多くの人々に愛される日本酒を生み出してくれると思います。
伝統を大切にしながら、新たな価値を生み出していく金鳳酒造の挑戦に、これからも注目していきたいと思います。
地元の方には「山は大山、お酒はキンポー」のキャッチフレーズで愛され、明治の頃から続く酒造りの営みは、ただ技術を磨くだけでなく、この土地の水や米、人々の暮らしと深く結びついています。
水や米に対するこだわり、そして「へるん」のように歴史や文化を反映したブランドの展開は、単なる酒造りを超えた地域貢献の姿勢を感じさせてくれます。
未来に向けて、金鳳酒造が掲げる「人とのつながりを深める酒づくり」は、日本酒の役割を改めて考えさせられる言葉でした。単に嗜好品として楽しむのではなく、コミュニケーションの一助となり、人々の暮らしに溶け込む存在であり続けること。その想いが、これからも多くの人々に愛される日本酒を生み出してくれると思います。
伝統を大切にしながら、新たな価値を生み出していく金鳳酒造の挑戦に、これからも注目していきたいと思います。
プロフィール
- 金鳳酒造有限会社
- 〒692-0056
- 島根県安来市清井町 343
- 【TEL】0854-27-0111
- 【FAX】0854-27-0112
- 【営業時間】8:15~17:30
- 【定休日】土・日・祝日
- 【HP】https://www.kinpo.jp/